大判例

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岡山地方裁判所 平成9年(わ)609号

本店の所在地

岡山県勝田郡勝央町勝間田二二五番地の五

法人の名称

佐藤建設株式会社

代表者の住居

岡山県勝田郡勝央町勝間田二二五番地の二七

代表者の氏名

佐藤宣義

本籍

岡山県勝田郡勝央町勝間田一八四番地

住居

岡山県勝田郡勝央町勝間田二二五番地の二七

職業

会社役員

佐藤宣義

昭和三〇年五月九日生

主文

被告人佐藤建設株式会社を罰金一八〇〇万円に処する。

被告人佐藤宣義を懲役一年に処する。

被告人佐藤宣義に対し、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人佐藤建設株式会社(以下「被告人会社」という。)は、岡山県勝田郡勝央町勝間田二二五番地の五に本店を置き、土木建設建築設計施工請負及び工事監理等を目的とする資本金七〇〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤宣義(以下「被告人佐藤」という。)は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の工事現価を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成四年一一月一日から平成五年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億二〇〇五万〇七五八円であったにもかかわらず、同年一二月二七日、同県津山市田町六七番地津山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七五三一万七五二七円で、これに対する法人税額が二七五七万二八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四四三四万七七〇〇円と右申告税額との差額一六七七万四九〇〇円を免れ

第二  平成五年一一月一日から平成六年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二億一五八九万三四九二円であったにもかかわらず、同年一二月二七日、前記津山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億〇二六〇万二七八五円で、これに対する法人税額が三五六九万七〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七八一八万一一〇〇円と右申告税額との差額四二四八万四一〇〇円を免れ

第三  平成六年一一月一日から平成七年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億七六二〇万〇二二七円であったにもかかわらず、同年一二月二五日、前記津山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億〇三一二万二九一一円で、これに対する法人税額が三六五七万一三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額六三九七万五六〇〇円と右申告税額との差額二七四〇万四三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  髙田桂子の検察官に対する供述調書

一  赤木耕三の大蔵事務官に対する質問てん末書(供述調書)四通

一  江田芳夫の大蔵事務官に対する質問てん末書(供述調書)二通

一  大蔵事務官富田康生作成の賞与(販管費)調査書、福利厚生費(販管費)調査書、交際費(販管費)調査書、減価償却費(販売管理費)調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、交際費損金不算入額、営業費調査書、事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一、第二の事実について

一  大蔵事務官富田康生作成の材料費調査書、賞与(原価)調査書、減価償却費(完成工事原価)調査書、雑費(販管費)調査書

判示第二、第三の事実について

一  大蔵事務官富田康生作成の雑費(原価)調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官富田康生作成の外注費調査書、工事経費調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官富田康生作成の外注加工費調査書

判示第三の事実について

一  大蔵事務官富田康生作成の賃金給料(原価)調査書、減価償却費(砕石売上原価)調査書

(法令の適用)

被告人佐藤の判示各所為は法人税法一五九条一項に、被告人会社の判示各所為は、同法一六四条一項、一五九条一項にそれぞれ該当するところ、被告人会社については、さらに情状に鑑み同法一五九条二項をそれぞれ適用し、被告人佐藤については各所定刑中懲役刑を選択し、以上は平成七年法律第九一号附則二条二項により刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については、同法四八条二項により各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で被告人会社を罰金一八〇〇万円に処し、被告人佐藤については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人佐藤を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予することとする。

(量刑の理由)

本件は土木建設等を業とする被告人会社及びその代表取締役である被告人佐藤が判示のように会社の業務に関し法人税のほ脱を計画し、平成五年度から同七年度までの三期合計で約五億一二一四万円の所得がありながら、約二億八一〇四万円しか申告せず、その差額約二億三一一〇万円の所得を秘匿し、合計八六六六万三三〇〇円の法人税を脱税したという事犯である。

そのほ脱税額は高額である上、その脱税の手段は、取引先の了解のもととはいえ、取引先名義のゴム印を作成し、あるいは同名義の預金口座を開設するなどして裏金等を捻出するために架空の工事原価を計上し、あるいは、役員等への仮払金の相当金額を架空の工事原価として計上する方法及び資本金七〇〇〇万円の被告人会社には損金として処理できない交際費の一部を他の経費科目に振り替えて損金として計上する方法を組み合わせること等により長期間にわたり脱税を敢行したもので、計画的、巧妙かつ大胆な手口で悪質といわなければならない。しかも、脱税事案は、国家財政の基盤である租税収入の確保を妨げるばかりでなく、税に対する不公平感を助長して納税意欲を減退させることにより、申告納税制度の根幹を危うくさせる犯罪であるところ、被告人らは、所得を隠匿し、多額の脱税をし、それを裏金に使い、裏金にまわし余った部分のかなりの金員を家族の預金にまわすなどしており、被告人らの犯行は納税制度を無視し、私利私欲に走ったものというほかなく、被告人らの責任には重いものがあるといわなければならない。

しかしながら、被告人らは自己の犯行を素直に認めて反省し、本件を含め平成二年度分以降の分についても修正申告を行い、法人税本税等合計二億二二一五万〇九〇〇円を納付済みで、延滞税、重加算税についても一部を納付済みであり、納付できない部分についても手形を振り出し、今後一年内に分割納付されることになっていること、被告人会社は本件により岡山県をはじめ近隣市町村等から指名停止処分を受けるなど既に相当の社会的制裁を受けていること、被告人佐藤については前科はなく、今まで真面目に稼働していたこと等被告人らに有利に斟酌すべき事情も認められる。

そこで、これらの一切の諸情状を総合考慮すると、被告人佐藤については今回限り刑の執行を猶予し、社会内での改善・更生の機会を与えるのが相当であり、被告人会社については主文掲記の刑を科すのが相当である。

よって、主文のとおり判決する。

(立会検察官坂本順彦、被告人佐藤主任弁護人兼被告人会社弁護人山下一盛、被告人佐藤弁護人山本賢昌)

(裁判官 一木泰造)

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